埋立地に作られた遊廓…高松市城東町 八重垣新地
高松駅から東に約１km。高松港の造船所や波止場、北浜alley等の中に見える、いかにも風俗ビル然とした佇まい。
そこが高松にある風俗街・城東町です。
海に突き出るように作られたその一角には、犇めき合うように立ち並ぶ風俗ビルの姿を目にすることができ、風俗ファンしか近付けないような異様なオーラを放っています。
この城東町にかつて存在したのが八重垣遊廓です。
東濱港と八重垣遊廓
寛永年間の1690年に設営された藩の商港、東濱港。東濱港は埋め立て地に作られた土地であり、城東町に存在しかつて遊女たちの信仰を集めていた東濱恵比寿神社も埋立地の上に立てられた神社であるそうです。
東濱港には他藩の商船も出入りし、東濱港には倉庫や造船所等が作られていきました。
そんな中、明治５～６年頃、東濱恵比寿神社の北側を更に埋め立てて北の新地が作られ、海に八重に石を積んで作られた土地であるために、八重垣と呼ばれるようになったそうです。
明治時代10年頃になると、八重垣遊廓が設置され、多数の茶屋が営業していました。瀬戸内海の寄港地として多数の船が立ち寄る八重垣遊廓は、船員達の憩いの場として大正・昭和の初期に掛けて、全盛期を迎えます。最も多い時期には、38軒もの遊廓が営業をしていたそうです。
しかし戦時中、昭和20年には戦火のために八重垣遊廓は焼失。更に翌年昭和21年には南海大地震が起きてしまいます。その後、徐々に八重垣新地は復興を果たし、赤線地帯となり、高度経済成長期頃には十数件の遊廓が復活していましたが、昭和31年の売春防止法の制定時に遊廓は廃止され、特殊浴場認定地区である八重垣新地と名を変えて、現在のソープ街へとなりました。
現在の城東町の風俗事情
現在でも、城東町ソープ街は健在です。瀬戸内海を挟んだ岡山県には、あまり風俗店が営業していないため、海を越えてフェリーで岡山の風俗ファンたちもやって来るそうです。
香川県ではソープランド、ヘルスといった風俗業種の営業が禁止されていますが、八重垣新地のみ認可されており、そのため唯一のソープ街として、城東町には約10軒前後のソープランドが営業しています。
八重垣遊廓の茶屋街は、戦火で焼失してしまったために、明治、大正の名残はあまり街並みには見られませんが、昭和の戦後に建築された木造の建物をちらほらと目にすることができます。中には、今でも実際に住居として使われている建物や、旅館になっている建物もあり、赤線建築ファンも時折訪れているようです。
